京都大学上級経営会計専門家(EMBA)プログラム第5期生でもある,税理士法人原澤会計,原澤一壽先生にインタビューをさせて頂きました。MAS監査に取り組むようになった経緯や考え方など伺うことができました。
話し手:原澤一壽(原澤会計)
聞き手:飯塚隼光(京都大学)
原澤先生がMAS監査を取り組むようになったきっかけは何だったのでしょうか。
税理士資格取得後,東京の事務所で2年間程勤務してから地元に戻ってきました。戻ってきたときには事務所にMAP経営のソフトは契約していました。が,なかなかクライアントに入っていけない,広めていけないという話も同時に聞きました。操作等の研修を受けているだけでは難しい点もあったのだろうと感じています。
ソフトを見た時に,こういうものの必要性は感じていたので,どうにかできるようにしてみたいなという想いがありました。そこで,MAP経営に原澤会計のMAS監査をお願いできないか打診してみたんです。MAS監査を受ける立場になって,どういうことをするのか実際に体験してみようと考えました。当時MAP経営が行うMAS監査のクライアントの中で会計事務所はうちが初めてだったと伺っています。
実際に,MAS監査を受けてみて変わったこと,学んだことはありますか。
そもそもの話として試算表をそれまで作っていませんでした。MAS監査を受ける以上試算表を期日までに送付する必要があります。そういう基本的なことから変わっていきました。
学んだことで大きかったのは,PDCAの回し方です。何がしたいのか,それを達成するために何をするのか,やってみて,翌月どうだったのか。できた場合,できた結果どうなったのか。できなかった場合,なぜできなかったのか,どうしたらいいのか,そもそもそれが本当に必要なのか。何か月もできていない場合,できないのではなくて,やりたくないのではないか。
クライアントごとに内容自体はオーダーメイドになりますが,幹となるのはPDCAの回し方にあると思っています。換言するとものすごくシンプルなことなのですが,大事なことであると考えています。
MAS監査を受けてよかった点,効果はどのようなところにあると感じられていますか。
もちろんPDCAの回し方については勉強になりましたが,MAS監査の効果といった点でいうと,我々にとっては自社のことを考える時間を半ば強制的に作るという点が大きいように感じています。どうしても普段仕事をしていると,そのことで頭がいっぱいで自社について落ち着いて考え直してみることは後回しになりがちです。中小企業であれば同じだろうとは思いますが,普段から従業員とは様々なコミュニケーションを取っているので,それで十分だろうと感じてしまいます。
組織外部の人を交えながら,数字を見て次にどうしようか考える時間をつくることは非常に重要で,もしかすると内容以上にそういう時間を作ること自体が重要なのではないかと考えています。
MAS監査を行う上で,大事にしているのはどのような点ですか。
クライアントの経営者が何をしたいのか引き出すことです。「社長が何をしたいですか?」「そのためにはどうすればいいとお考えですか?」と聞くようにしています。
時には間違えることや,うまくいかないこともあります。それを責めたりすることは絶対にせず,なぜできなかったのか考えてみましょうとお伝えしています。
逆に失敗することで経営者の方も腹落ちしてくれる,納得してくれることもあります。人生でも挫折した経験が糧になるのと似ています。ただ,企業にとって大きな損失を生じさせてしまうのは避けたいので,大きすぎる失敗にはならないように気を付けています。
そうした取り組みの最中で京都大学上級経営会計専門家(EMBA)プログラムを受講されたと思います。どのようなきっかけがあったのでしょうか。
日本経営会計専門家協会理事でもある西迫一郎先生からの紹介です。正直,プログラムの内容についてはよく理解しないまま受講したのを覚えています(笑)。
受講してみていかがでしたか。
ROIC-TREEから企業の課題を分析する等,今までの自分にはない観点や手法を学べたことは大変勉強になりました。アカデミックな部分と実務的な部分をどうやってクロスさせていくか、研究者の研究を実務にどう落とし込んでいくかのプロセスが興味深かったです。
また、全国から意欲のある先生方が集まっているのでそういった先生方と交流できたのも刺激になりましたし、貴重な情報交換の場としてもありがたかったです。
→引き続き事例等作成させて頂く予定です。公開されましたらこちらでも告知させて頂きます。